京都大学国際高等教育院附属 データ科学イノベーション教育研究センター

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統計的信号処理論

開講時期 年度 後期
担当教員 国際高等教育院 教授 林 和則
授業情報

(群) 院横断 (分野(分類)) 統計・情報・データ科学系 (使用言語) 日本語
(単位数) 2単位 (週コマ数) 1コマ (授業形態) 講義
(開講年度・開講期) 2025・後期 (配当学年) 大学院生 (対象学生) 全学向
(曜時限) 木2
(教室) 工学部総合校舎213

※情報学研究科 の学生は、全学共通科目として履修できません。所属学部で履修登録してください。

授業の概要・目的

信号処理は生の観測データから役に立つ情報を抽出するための理論的な枠組みである。信号処理の最も基本的な問題であり、かつデータ利活用の現場で最も直面することが多いと考えられる観測データから未知ベクトルを推定する問題を中心に、線形観測モデルの逆問題を考えるアプローチやベイズ統計に基づく確率推論のアプローチなどについて、その理論的な背景から実際のアルゴリズムまで解説する。具体的には、最小二乗法や最小平均二乗誤差推定、適応信号処理、圧縮センシング、カルマンフィルタ、粒子フィルタ、確率伝播法、位相的データ解析などのテーマについて関連事項を解説する。

到達目標

各手法の理論的な基礎事項を十分に理解し、実際の問題に応用するための能力を身につける。

授業計画と内容

1. ガイダンス:講義の進め方、データ科学と信号処理の関係
2. 統計的信号処理の基礎:信号処理の考え方、複素数、確率変数、期待値
3. 信号の統計的性質の基礎:確率過程、相関行列
4. 重み係数最適化の基礎:勾配、偏微分、全微分、ウィルティンガー微分、複素勾配
5. 線形逆問題:線形観測モデルと逆問題、最小二乗法、MMSE推定、最大比合成
6. 適応信号処理:ウィナーフィルタ、最急降下法
7. 適応信号処理:LMS、正規化LMS、RLS
8. 圧縮センシングの基礎:最小ノルム解、正則化最小二乗法、圧縮センシングの問題設定、再構成の条件
9. 圧縮センシングのアルゴリズム:近接写像、近接勾配法、Douglas-Rachford 分離、交互方向乗数法
10. サンプリング法:逆関数法、棄却サンプリング、重点サンプリング、SIR
11. 状態推定:状態空間モデル、状態推定、粒子フィルタ、カルマンフィルタ
12. 確率伝播法:条件付き独立性、グラフィカルモデル、確率推論問題、sum-productアルゴリズム、PearlのBPアルゴリズム
13. マルコフ連鎖モンテカルロ:メトロポリス法、ギブスサンプラー、詳細釣り合い条件、メトロポリス・ヘイスティングス法
14. 位相的データ解析:ベッチ数、単体複体、鎖群、サイクルとバウンダリ、ホモロジー群
15. フィードバック

履修要件 「微分積分学(講義・演義)A、B」および「線形代数学(講義・演義)A、B」、または「微分積分学A、B」および「線形代数学A、B」、および確率論基礎の内容を理解していることが望ましい。

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